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2010.09.02 Thu

冷戦時代の史実ネタを含むSSになります。

歴史的表現暴力表現を含みますので苦手な方はお控え下さい。

CPは露米米独露普になります。

最後の方で米が軽く病みますのでご注意下さい。

それでも「おk!!何がきても笑えるよ(^q^)wwww」と言う方追記より願いします。


「はぁ……」 

歳にそう似合わない溜息をついて、腰が沈む程のソファーにもたれかけた。
首元を絞めるネクタイを無造作に解いて高い天井を見上げた。
久しぶりに軍服が脱げる、そう思うと何となく気が軽くなった。
 
時は第二次世界大戦終結後――。
枢軸国と連合国、世界が2つに分かれて戦った悲劇の幕が下ろされた。
だが本当の戦いはまだ終わってはいなかった……。
 
「お待ち下さい!!アルフレッド様は今……!」
 
廊下を複数の足音が聞えてくる。
1人は自分の軍の将校……もう1人、聞き慣れた声に身体が反応する。
今まで同じ大儀の元に敵を殺して、罪も無い民を殺して、ただ自我(エゴ)と言う名の感情に流されて―――嗚呼、歴史は何時の時代も掌に転がされた<人間>駒を無慈悲に<世界>遊戯盤(ばん)の上で動かす。
 
「久しぶり、アルフレッド君」
「……イヴァン」
 
講和条約の締結会議以来だった。
連合国と言う武器を片手に共に戦った、北の大国ロシア連邦――イヴァン・ブラギンスキ。
いつもと変わらない笑顔を浮かべてソファーから頭を逆さにしているアルフレッドを見据えた。
先が読めない表情、苦手だといつも思っていた。
 
「何だい?君がここまで来るなんて、よっぽど大事な用じゃないのかい?」
 
よっと腰を浮かせて体制を整えて、イヴァンを向かいのソファーに座らせた。
ありがとう、そう言ってソファーに腰掛けてもイヴァンは目線を合わせようとはしなかった。
 
「――そんなに僕のこと見たら、穴開いちゃうよ?」
「あ、ごめん……」
 
口元だけ笑っていた。
やっぱりやり辛い、そうアルフレッドは改めて思った。
 
「ねぇ、アルフレッド君……」
「な、何だい?」
「お願いがあるんだ」
 
きた――イヴァンが何の理由も無しにここに来る訳が無い、アルフレッド自身も薄々そう言うことではないかとは考えていた。
そして、お互いの目線が初めて合致した。
 
「あ、あぁ俺で良ければ協力する……言ってみてくれないか?」
「ギルベルト君を……僕のものにしたいんだ」
「!」
「アルフレッド君が断るって言うなら僕は武力行使も厭わない――前みたいにね、と言っても上司にはまだ伝えてないんだけどさ」
「……要求は何だい?」
「要求?ただギルベルト君を僕のものにしたい……ただそれだけだよ。全く、アルフレッド君は面白いことを言うね」
「……」
「もう1つ――僕からの要求、いや提案かな?東ドイツと西ドイツ、あの2人を東西に分けて支配しよう。どちらにも利点はあるはずだよ」
「!!……そんなことしたら、ヨンス達のようにっ」
「それは<敗戦国>彼等には関係無い、彼等にとって<戦勝国>僕達が全てなんだよ」
 
その要求を断る理由は無かった。
そう、よく考えれば敗戦国がどうなろうと関係無いではないか――と。
 
「これで連合国“ごっこ”は終わり……もう好きにさせてもらうよ。今までありがとう――アルフレッド君」
 
紫の瞳が妖しく光った。
それでも心が揺れる、これで本当に良いのか?あの2人を支配しても彼等が苦しむだけではないのか?――嗚呼、どんなに考えたって答えが見つかる訳無い。
そして、静かに口を開いた。
 
「分かった。君の要求に答えよう、ただし……俺達はお互い連絡を取り合うこと、勝手な支配行動は起こさないこと、他国には“連合国による共同支配”と言う名目にしてあるんだ。……良いね?」
「……ふふふ、楽しくなりそうだね」
「だから、イヴァン……!!」
「言ったでしょう?連合国“ごっこ”は終わりだよ」
「……?」
 
その時アルフレッドは気づかなかった、いや気づくことは出来たかもしれない――イヴァンの裏切りと、この後のもう1つの悲劇を。
 
「今……何と?」
「だから、君達を東西に分けて統治する……と言っても名目上だからそこまでは支配はしないから安心してくれ」
「……兄貴は?」
「ギルベルトはイヴァンが統治することになった」
「……分かった――」
 
そう言って表情1つ変えずに立ち去ろうとするルートヴィッヒに冷静に振舞っていたアルフレッドが掴みかかった。
今まで抑えていた感情が溢れてきた、そんな気持ちだった。
 
「なぁ、君はそれで本当に良いのかい!?……独立国が別々に支配されて、自由を奪われて、この支配がいつまで続くかも分からない状況で、君は何で……何でそんなに冷静なんだい――?」
 
ずっと溜まってた言葉、この世界への尽きない恨み。
 
「……俺達が負けたからだ――敗者が勝者に従うのは当然だろう?そのことに関して説教しても無駄だぞ、小さい頃に身をもって体験してるからな。いくら幼かったからと言って負けた者がどうなるかくらい、帰ってきた兄さんの顔を見ればすぐに分かった」
「……俺が言いたいのは!!」
「アルフレッド、ありがとう。俺は大丈夫だから」
 
嗚呼、いつも空回りする。
何故か思いが伝わらない……自分が言いたいのはそう言うことじゃない、自分がしたいのはそう言うことじゃない。
何故、何故なんだ――。
 
「君のそんな笑顔を見る為じゃ、無いんだよ……」
「アルフレッド、俺は――」
「アルフレッド様!!大変です、ロシア連邦が東ドイツと西ドイツの国境に壁を……ベルリンに壁を!!」
「何だって……!?」
「兄さん……」
「ちょっと待ってくれ!!イヴァンとの約束で“勝手な支配行動は起こさない”と言うのを条件で向こうの要求を呑んだんだ!!……ごめん、……それでイヴァンは?」
「完全に連合国から抜け、“ロシア連邦”として東ドイツを統治すると……アルフレッド様、」
「……アルフレッド」
 
ほら、何時の時代も何も自分のものにはなりはしない。
全てが自分のものになると思っていた、自分の行動が一番正しいのだと――。
<英領からの独立>望んだものが、<連合国の趨勢>喪いたくないものが、<戦後の支配領土>守りたいものが――音を立てて粉々に崩れ、自らの掌には何も残らない。
 
「ははは……これは今までの戦争とは違う。そうさ、これは冷たい戦争――冷戦(Cold War)なんだ!!!向こうが抗うなら、俺達だって“おもてなし”をしなきゃ失礼だろう?」
 
この瞬間、自分の中で何かが壊れた。
理性として片付けられるものじゃない、きっともっと喪ってはいけない――大切なもの。
 
――これを期に対立は激しくなり、後の世に【東西冷戦】と謳われることとなるこの対立は以後数十年、世界中の諸国を巻き込んで続くこととなる。
多くの血と涙、尊い生命(いのち)を歴史の闇に葬り去って――。
 
The end of the story
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*Comment*
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やっと読めた!
Meliseでございます! 

読みにきましたよ!
なるほど、冷戦はこのように起こったのですね。。
大変お勉強になりました!
ハンバーガーだけじゃないことを知りました(コラ

というか
ロベさまの文章力に私撃沈←
書き方がおいしいですなぁwwww
Melise 2010/09/27 13:28 編集
Re:やっと読めた!
>>Melise

わざわざ読んでくれてありがとうねえええ!!!
温め過ぎて何か何かもう、ごめんなさい←

そして反史実で申し訳ない!!!
流れは史実だけど、アルの行動が反しております;ω;
だってそうしなきゃ、そうしなきゃ……シリアスにならないんだものおおお!!←
でもあの子は99%がハンバーガーで構成されていま((

ロベ様に文章力なんて素敵なものは持ち合わせてないのさ、はははっ!!!
MeliseのSSの方がよっぽど素敵ですわ><*
書き方?もちろん不味いんだぞ★←
【 yuka 2010/09/27 19:56 】
読ませていただきましたよ^^

あらあらあ
なんて素敵な小説なのっ!!
お兄さん泣いちゃう←

なんか冷戦のことが
よくわかった気がする!!
ありがとう!!
これで私は100点s/

アルの
病んデレもいいわねwww
うん。ネタにしよう←

私がベルリンの壁を
壊したi(ry


妃萌 URL 2010/09/03 19:05 編集
Re:読ませていただきましたよ^^
>>妃萌

あらまぁ、素敵じゃないわよ(^q^)wwww

そう言ってくれると嬉しいよ~書きがいがあります(;ω;)
また史実ネタで書くから、私が妃萌の世界史テストを100点にしてあg←

何故かアルが最後病んでしまったのよwwww
何故なのよおおお!!!←
でも、このSS書いてて分かったことがあるの……アルの病みが美味しいってことにね(^q^)!!!

そうだ、トンカチ持ってベルリンに行こう←京都パロ
【 yuka 2010/09/27 19:04 】
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