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2011.01.05 Wed
第一次世界大戦の勃発したのは、誰も悪くない。

いつか書きたいなぁっと思っていた、サラエボ事件ネタです。
貴族だって取り乱しますよね、うん、取り乱した貴族って萌えry

書式は貴族の回想?と言う感じで書いてみましたが、お好きなように解釈して頂いて構いません^^

ちなみに、皇太子夫妻の暗殺“方法”については史実を無視しておりますのでご注意下さい。
確かセルビア訪問でしたっけ?
その他(年号、暗殺の順番など)は史実です(笑)

それでは、追記よりどうぞ^^

1914年6月28日――2発の銃弾と共に散ったのは、オーストリア=ハンガリー帝国の皇帝兼国王皇太子のフランツ・フェルディナント・フォン・エスターライヒ=エステとその妃ゾフィー・ホテク――虚しくもその日は14回目の結婚記念日だった。
 
これから話すのは、私が彼らと過ごした【最期の物語】――。
 
「さぁ、早く行きましょう。オペラが始まってしまいますよ?ローデリヒ」
「そ、そんなに急がなくても……」
「全くゾフィーは……。ははは悪いな、ローデリヒ、大丈夫か?」
「えぇ、まぁ仕方ないですよ。久しぶりの外交ですし、何たって今日は結婚記念日なんですから」
「そう改めて言われると、恥ずかしいものだな。……でも、まぁ」
「?」
「よくここまでゾフィーも一緒に付いて来てくれた、と思ってな。……お前には昔、話したかもしれないがゾフィーは下級伯爵家の娘で、この通り私は皇帝の血を引く皇族だ」
「……えぇ、」
「もちろんゾフィーが失ったものは計り知れない、それにも関わらず世間は冷たかった。何も許されず、何も認められず……それなのに、ゾフィーは私を選んでくれた。こんな暗闇を、14年も共に歩んでくれた、……って悪い、こんな話に付き合わせてしまったな」
「いえ……きっと大公は幸せなんですね」
「!……そうかもしれないな、いや、そうであると思いたいな。こんな私でも今やオーストリアの皇太子だ、別にこの先に皇帝になれることが幸せなんじゃない、こうして――ゾフィーと祖国(おまえ)と一緒に過ごせるのが幸せなんだ」
「……Danke schön.」
「それで、これからもずっと一緒にいられると、もっと幸せなんだろうな」
「もちろんですよ、ずっと私は貴方がたのお傍に、何たって私は――」
「ほらほら、何を2人で生真面目な顔為さってるんですの?もうすぐですよ、オペラの劇場は……確かここを右に、それで次を左だったかしら?」
「ここは左ではなかったか?」
「あら、本当だわ。ふふ、やっぱり貴方に任せた方が良かったかしら?」
「お前は少しはしゃぎ過ぎだぞ?」
「ふふ、だって今日は――」
 
不意に飛び出した人影に、ローデリヒも御付きの警護達も間に合わなかった。
 
「セルビア(おれたち)を馬鹿にしやがったオーストリアの皇太子の命日だ!!!」
 
叫んだ男、装填された拳銃、向けられたのはオーストリア皇太子夫妻、息をも呑む瞬間さえ儘ならない。
1発の銃弾が、妃・ゾフィーの腹部を貫いた。
 
「何、を……?」
「っ、ゾフィー!!!」
「ゾフィー様!!!お気を確かに……!!!」
「ゾフィー、しっかりするんだ、死んではいけない。子供達の為に生きなくては、いや……私の為に生きてくれ!!!ゾフィー、しっかりしろ……ゾフィー!!!」
「あぁ、大丈夫だ、すぐにお前も逝かせてやるよ。そうだな、苦しまずに首でも撃ってやるよ、なぁ!!!」
 
もう1回、男は引き金を引いた。
人間における急所――頚椎を狙って。
地面に散った花弁、それは虚しくも国旗の色――鮮やかすぎる赤だった。
 
「た、大公……!!!」
「今すぐ大公を!!!早くしなさいっ!!!」
 
一歩後ずさりながら、男は再び叫んだ。
 
「これで、俺達(セルビア)は自由だ……ははっ、誰もがこの帝国を喜んでるわけじゃねぇんだよ。何が二重帝国だ、何が平等だ、どうせお前達(オーストリア)のエゴの為なんだろう?俺達(セルビア)は操り人形じゃねぇんだ!!!」
 
フランツを抱きかかえていたローデリヒが男を睨み付けた。
 
「っ……お黙りなさい!!!このセルビアの下僕(いぬ)が、皇太子(めいしゅ)に牙を向いた悪魔がっ!!!」
「悪魔?そうだな、悪魔は魔王に奉仕(おつかえ)してるんだ。じゃぁ魔王は、だぁれだ?」
「!!」
「お前達だよなぁ?盟主様……」
 
それは悪魔の囁き。
ローデリヒは自分の腕の中で冷たくなっていく彼を抱きしめながら、どうしようもならない哀しみに襲われた。
 
「大公、私がいながら……、たい」
「ローデリヒ、お前、に……怪我は、ない、か?」
「大公!!喋らなくて良いです、今すぐ官邸にお連れ」
「良い……、」
「大公……?」
「ゾフィー、と、お前と、この先、も――」
「……!」
「……」
「……あぁ、私を置いて、ずっと、一緒に……いるって、約束したばかりじゃないですか、」
 
不意に見上げた空は、澄んだ程の雲一つ無い――鮮やかすぎる青だった。
 
「お馬鹿さん……」
 
――これが、私が彼らと過ごした【最期の物語】。
 
その後、オーストリア=ハンガリー帝国はセルビアに対してオーストリア最後通牒を突きつけた。
加えて48時間以内に無条件で全条件を受け入れなければ、オーストリアからセルビアへ宣戦布告することを通告した。
 
しかし1914年7月28日、無条件での受諾を求める事前の通告通り、セルビアに対して宣戦を布告し、これをきっかけとして第一次世界大戦が勃発した。
 
そしてその戦火は、欧州を飲み込んでいく。
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将来の夢はフリードリヒ大王のお嫁さんになること←
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